ポッキー
深夜の部屋に携帯の着信音が響く。
何ごとかとロックオンは身体を起こし出た。
ソコには刹那の姿があった。
「どうした、こんな真夜中に」
眠たい目を擦りながらロックオンは答えた。
「東京は真昼だ」
「さいですか」
刹那はロックオンの様子を気にすることなく続けた。
「今すぐこっちへ来い」
「は?」
「いいから来い」
それだけ言うと刹那は携帯を切った。
「な、何かあったのか?」
そういうとロックオンは慌てて外出の準備を始めた。
経済特区・日本・東京
ソコに刹那の部屋はあった。
部屋の呼び鈴を鳴らしシバラクすると扉が開いた。
「・・・入れ」
「おう」
そう言うとロックオンは刹那の部屋に入った。
刹那の部屋は相変わらず簡素な物だった。
ベットの上や床には雑然と新聞や資料が並べられている。
他には目立った物はない。
備え付けの家具以外は自分の物は持ち込んでいないのだろう。
「それにしても何だ?急に呼び出して」
ロックオンはまだ眠いのか片目を擦りながら質問をした。
「・・・とりあえず座れ」
ロックオンは促されるままベットへと腰を下ろした。
「それで?一体何なんだ?」
「11月11日は何の日か知ってるか?」
「は?」
唐突な質問にロックオンは戸惑った。
何の日かなんて聞かれたって。
「そんなもん知るわけ無いだろ?」
至極当然な答えだった。
「あ〜、そういえばその日はミッションがあったなぁ」
そういえば、と何かを思い出したようにロックオンは答えた。
「で、その日が何の日だったんだ?」
「11月11日はポッキー&プリッツの日だ」
「は?」
コレを見よといわんばかりに刹那は赤い箱をロックオンの目の前に突き出した。
ロックオンには刹那の行動が一切わからない。
何がしたいんだコイツは・・・
刹那は箱から一本ポッキーを出すとポリポリと食べだした。
一本食べきると刹那はロックオンの前に仁王立ちになってこう言った。
「咥えろ」
「はい?」
状況が全く飲み込めていないロックオンに対して、刹那はポッキーをロックオンに向けて差し出したのだ。
「咥えろっておい」
「いいから」
有無を言わさずポッキーを一本ズイズイとロックオンの口元に押し出してきた。
仕方なくロックオンは差し出されたポッキーを口に咥えた。
咥えたとたんチョコレートの味が口一面に広がる。
するとサクッっと軽い振動がした。
良く見ると反対側から刹那がポッキーを食べながら近づいてくる。
そして、チュゥと自分よりやや低い体温が唇に当った。
ロックオンは驚き目を丸くした。
そして目の前にある刹那の顔を凝視した。
「なんだ、味は変わらないんだな」
そんな事をつぶやきながら刹那は顔を離していく。
そして新しいポッキーを取り出してロックオンに差し出した。
「咥えろ」
「へーへー」
ロックオンは半ば諦めたようにその行動に従った。
それにしてもこの行動、何処かで見た気がする。
何処だったか。
でも、確かに見ている。
何だったんだろう。
そう思案しているとまたチュゥと低い体温が唇に当った。
そこでロックオンは思い出した。
そうだ、以前東京に来た時にTVのCMで見た!
恋人達が楽しそうにチョコレート菓子の両端から食べていた。
まさか、そのCMに感化されたわけじゃないだろう。
でも、可能性として排除する事は出来ない。
刹那はまた新しいポッキーを箱からだしロックオンに向けて差し出していた。
その行動をロックオンは遮った。
「刹那、一つ聞いて言いか?」
「何だ?」
「何でこんな事使用と思ったんだ?」
「TVでやっていた」
やっぱり、まさか刹那に限ってとは思っていた。
しかし、その予想が的中するとは思っても見なかった。
ロックオンは身体の力が抜けるのを感じていた。
そしてベットへ倒れこんだ。
「どうした?大丈夫か?」
刹那はやや慌て気味にロックオンに質問をした。
「刹那〜俺思い出したんだけどさ〜寝不足なんだよ〜」
「ソレがどうした」
「頼むから寝かせてくれ」
「・・・」
刹那はわずかばかり思案するとわかったと答えた。
「わるいな、それにしてもどうしてあんな事をしようと思ったんだ?」
「あんな事とは何だ?」
「なんだっけ?あのチョコレート菓子を端から食う奴」
「ポッキー&プリッツの日は恋人達にとって大切な日だ」
刹那は何の迷いも無く答えた。
そうか、コイツはあのCMを見てそう捕らえたのか。
ロックオンは一人で納得すると上着を脱いで刹那のベットへ倒れこんだ。
そして布団の方端を上げてこういった。
「刹那、お前も来るか?」
すると刹那はコクリと首をタテに振り上着を脱いでロックオンが呼ぶベットの中へと埋もれていった。
「それにしてもお前があのCMに感化されるなんて思っても見なかったぜ」
ロックオンはクククと笑いながら刹那の頭をなでた。
刹那はその手を振り払うと悪いかと答えた。
「いや悪くないよ」
それだけ言うとロックオンは自分よりも低い体温を感じながら眠りのソコへと落ちて行った。
はい、日記で言ってたアレです。
ポッキー&プリッツの日です。
見事にヘボイSSが完成しましたね。
自分でもなんとも言えません。
他に何も思いつかなかったのでご容赦ください><