とある厄日の物語





部屋の呼び鈴が鳴らされ、ロックオンは扉のロックを解除した。
そして、外で扉が開くのを待っていた人々を部屋へと入れた。
外で待っていた人物は、スメラギ・李・ノリエガとクリスティナ・シエラ。
その両名の背後に隠れるようにして姿を現したのはフェルト・グレイスだった。

「どうしたんですか?皆さんお揃いで」

ロックオンは素直に疑問を口にした。
女性人が自分の部屋へ集まってきているのだ、
この状況を、おかしいと思わないほうがおかしい。
その質問にスメラギが答えた。

「罰ゲームの罰じゃない」
「罰ゲーム?」

ロックオンは何ごとかと考えを巡らした。
そして、一つの出来事に思い至った。
つい先日、カードゲームでスメラギに負けたのだ。
その時確か賭けをした気がする。
カードゲームで負けた事は覚えている。
ただ、その時はお酒も入っていたし、ただの冗談程度で、
面白い罰ゲームあったらやりますよと言った記憶がある。
その罰ゲームをするタメに彼女達は部屋へやってきたらしい。

「あ!あの時の!」

ロックオンは思い出したように声を出した。
それにしても、彼女達の持っている荷物の量はいかがな物か。。。
まさかキグルミでも着せるつもりなのだろうか?
それにしても、あの時の事をまさか本当に実行させられるとは思っても見なかった。

「で、その大量の荷物が罰ゲームなんですか?」
「ええそうよ、コレを着てプトレマイオス内を歩いて頂戴♪」

スメラギは楽しそうにそう答えた。
そして、スメラギは持っていた箱型バックを、
クリスティナとフェルトが何やら布の様な物を、備え付けのテーブルの上へ置いた。

「それにしても簡素な部屋ね、支給品以外無いんじゃないの?」

スメラギはロックオンの部屋を見渡してそう言った。
男の部屋にしては整理されている部屋には、
支給されている家具・電化製品以外は置いて無い様に見えた。

「男の部屋ってもっと散らかってると思ったのに、意外と綺麗にしているのね」

スメラギは関心したように、また部屋をくるりと見回した。

「部屋が綺麗な所は関心関心」

何故かスメラギは嬉しそうに答えた。
その声に続いて、クリスティナが声を出した。

「スメラギさんソレより準備してチャッチャとやっちゃいましょうよ、私早くみたいです〜」

クリスティナは語尾を延ばしながらスメラギに行動を起こすよう促した。

「そうね、そうしましょう!」

スメラギはそういうと、ロックオンに向かってとんでもない事を言い出した。

「とりあえず服一式脱いでくれる?」
「はい!?」

服を脱げと言う事はやはりキグルミか!?
ロックオンは心の中で恥かしさと驚きをこめて叫んだ。
なんだ!?何を着せられるんだ!?
ロックオンの頭の中はその言葉だけで埋め尽くされていった。
ただ呆然と立ち尽くしているロックオンの様子を見て、スメラギは早く行動に移すよう言葉をかけた。

「ほら!早く脱いだ脱いだ!」
「本気ですか!?女性の前で脱げって言うんですか!?」
「そう?じゃぁ服渡すから、浴室で着替えて着てよ」
「は、はぁ」

ロックオンは力なく答えると、クリスティナとフェルトが持っていた荷物を2つ受け取った。
浴室に移動したロックオンは、とりあえず受け取った袋をあけ、服を見た。

「ちょ!ミススメラギ!これスカートじゃないですか!しかも短い!」
「そうよ、罰ゲームは女装してもらうことに決めたの。男に二言は無いわよね?」
「そ、それは。。。」

スメラギにそうつめよられ、ロックオンは一歩引いた。

「それに、あなたに合うサイズの服探すの大変だったのよ〜」

スメラギは更にズイット詰め寄った。
するとソコへ機械音が聞こえてきた。

「ロックオン、ジョソウスル、ジョソウスル」

目をチカチカと光らせながら、オレンジ色の丸い物体が声を上げた。

「ほら、ハロもああいってることだし、早く着替えて出てらっしゃい!」

スメラギはそういうとロックオンを浴室へと追いやった。
その時ロックオンは戸惑っていた。
短いスカートと睨めっこしていた。
こんな事になるなら、あんな賭けに乗るんじゃなかったと。

「ロックオン、早くしてよね〜!」

スメラギは急かすようにロックオンに声をかけた。
仕方が無い!半分自暴自棄になりながらロックオンは服を脱いぎ着替えだした。
渡された袋を開けると、ソコにはスカートに、上着、ニーソックス。
もう一つの袋にはブーツが入れられていた。
上着はシャツとベストとジャケットの3枚重ねに見える黒のジャケット。
スカートはメッシュの入った黒と赤の巻きスカート。
スカートの長さは膝上20センチほど。
そこへ茶色のニーソックスを履くと丁度10センチほど肌が露出する部分が出来た。
そして、チェーンの付いたベルトを腰へ巻きつけた。
最後にブーツを履き、浴室から外へ出た。

「あら、意外といけるじゃない」

スメラギは、姿を現したロックオンの姿を見て満足げに答えた。

「後は、ヘアとメイクだけね」

楽しそうに答えると、テーブルにおいてあった箱を開けた。
箱の中には化粧道具がギッシリと詰められていた。

「ミススメラギ、フェルトとクリスティナは何処へ行ったんですか?」
「彼女達ならコックピットへと戻ったわよ」

そう言うと、スメラギはマズ顔を洗って来いと指示をした。
その指示に逆らうことなく、ロックオンは洗面台で顔を洗い、スメラギの元へ戻ってきた。

「さぁ、椅子にすわって」

促されるままロックオンはスメラギの脇にあった椅子へと腰掛けた。
スメラギは化粧水をコスメBOXから取り出し、コットンへとふりかけロックオンの顔へはたいた。

「ちょっとムカつくわね」

スメラギがポツリと呟いた。

「何がですか?」

その言葉を聴いたロックオンは不安げに疑問を口にした。

「ロックオン、あなたお肌の手入れなんてしてないわよね?」
「してませんけど。。。何か?」
「あ〜〜!余計にムカつくわ!」

ロックオンは肌の事など気にした事は無い。
それなのに、スメラギは肌の事にこだわっている。
コレは一体どういう了見だろうか。。。

「何か問題でもあったんですか?」

ロックオンはオズオズと疑問を口にした。

「何も問題が無いからムカつくのよ!」

そう言いながら、化粧水をはたき終わると次は美容液を取り出しロックオンの顔に塗り始めた。
ロックオンは困惑していた、問題が無いのに何故こんなにスメラギは怒った口調をしているのだろう。
その答えが全く見えてこない。
そうこうしている間に、今度は下地になるリキッドを取り出しロックオンの顔へ塗り始めた。

「あ〜〜!やっぱり、化粧乗りがいいわ、ムカつくくらいに」

そう呟きながら、スメラギは作業の手を緩めない。
ロックオンはその言葉を聞いて合点がいった。
つまり、自分の肌とロックオンの肌をスメラギは比べていたのである。
そして、スメラギは自分の肌より綺麗なロックオンの肌に嫉妬していた様だ。

「はい、目つぶって」

そう言われ、ロックオンは素直に従う。
もう、ロックオンには従う事しか出来なかった。
それにしてもこの格好で、プトレマイオスの中を一周しなくてはならないと思うと気が重かった。

「最後は髪ね、あなたの癖っ毛ストレートにするわよ」

そう言うと、コテで癖で跳ねている所を真っ直ぐに直し始めた。
少しするとスメラギが声を上げた。

「よし!出来たわ!うん、良い出来ね」

自画自賛しながらスメラギはロックオンの姿を見た。

「どう?自分がどうなったか見て見たい?」
「はい!?」

スメラギは恐ろしい事をさらっと言って見せた。

「こんな格好する機会なんて今後一切無いでしょうし、一見の価値はあるわよ」

スメラギは鏡を化粧BOXから取り出すとロックオンに渡した。
ソコには予想していなかった人物が見えた。
内心、コレはなかなか。。。と思ったくらいだ。
スメラギのメイク術は驚くべき物だった。
元々、目鼻立ちがシッカリしているが、ソレを更に引き立てている。
しかし、ソレで居て嫌味が無く、ナチュラルに見える。
スメラギの腕は賞賛に値する物だった。

「さてと、じゃぁプトレマイオス一周ツアーいくわよ!」

スメラギは張り切りながらそう言うと、ロックオンの手を引っ張って部屋の外へ出た。

「とりあえず、コックピットからいってみましょっか、フェルトもクリスティナも今のあなたを見てないわけだし」

その一言で、最初の目的地が決まった。
と言うか、人が移動できるスペースの殆どを移動する事になった。
プトレマイオスは決して大きくない。
そのため、人が普段着で出歩けるスペースは限られていた。








そうこうしているうちに、コックピットまで着いた。
不思議とコックピットまでの道のりで誰にも会わなかった。
不思議な事もあるものだと思った。
コックピットの扉をくぐると、フェルトとクリスティナが計器に向かい仕事をしていた。
そして、2人が入ってきた事を確認すると「わ〜!」と声を上げた。

「似合うじゃないですかその服!一度と言わずまた着てくださいよ!」

クリスティナが嬉しそうに言う。

「よく似合っていると思います」

フェルトも小さな声で答えた。

「なんつーか、この格好で誉められても嬉しくないと言うか何と言うか。。。」

ロックオンは苦笑しながら二人を交互に見た。

「本当です!本当に良く似合ってますよ!頑張って服探した甲斐がありました!その服選んだの私なんですよ〜」

クリスティナは本当に嬉しそうに言った。

「そうなんだ、この場合は有難うと言ったほうがいいのか?」
「喜んでください!綺麗ですよ本当に!」
「じゃ、じゃぁ、ありがとう」
「はい」

クリスティナは笑顔で返した。
可愛らしい笑顔に、他に言葉が思い浮かばず、また苦笑してしまった。

「どう?堪能した?」

スメラギがそう言うと、クリスティナとフェルトは「はい」と首を縦に振った。

「じゃぁ、次はラウンジにでも行きましょうか」
「え!?ラウンジまで行くんですか!?」
「当たり前じゃない!皆に見てもらわなくっちゃ☆」

スメラギは楽しそうにロックオンの腕を引っ張り、ラウンジへと移動していった。
ラウンジは予想以上に混んでいた。
と言うよりも、フェルトとクリスティナ以外のクルーが全てソコに居たのである。
何より珍しく、マイスターズが全員揃ってるところに驚いた。

「皆、注〜目〜!」

スメラギは思いっきり大きな声で叫んだ。

「ミススメラギ、そんな、叫ばなくても良いじゃないですか!」

ロックオンは慌ててスメラギの口を封じようとしたが、その手はスメラギにすんでの所で止められた。

「せっかくなんだから、皆に見てもらわなくっちゃ!」

その声に、ラウンジに居た人間の視線が、入り口に集まった。
そして、ロックオンの姿を確認して皆、目をむいた。

「どう?綺麗でしょ!」

スメラギは自慢げにロックオンの背中を押し、一歩前へ押し出した。

「ちょ!何するんですか!」

身を引こうとしたロックオンをスメラギは押し戻した。

「逃げない、逃げない」

すると、皆がロックオンに声をかけた。

「意外と似合ってますよ」

アレルヤが声をかけてきた。
声には半分哀れみを感じさせた。

「ぁぁ、有難う」

ここでもまた苦笑するしかなかった。
ティエリアは興味なさげに一瞥しただけで、手にしていた雑誌に視線を落とした。
他のメンバーも口々に半分からかいながら、ロックオンを相手に喋っていた。
その姿を見ていた刹那は、横を通り過ぎ何も感想を残すことなくラウンジを出て行った。
ロックオンとしては、刹那にこんな姿を見られてしまったことが恥かしい。
しかも、感想も何もなし。。。次に会うときが何故か怖かった。
一通り皆にいじられたところでロックオンは解放された。

「さてと、皆にもお披露目できたし、コレでかいさんね」

スメラギは楽しそうに答えた。
そして、化粧はチャンと落としてね、と言い残してサッサと自らの部屋へ戻っていった。
取り残されたロックオンは仕方なく部屋へと帰ることにした。







部屋の扉の解除コードを入力し部屋に入ると、ベットの上に一つの影があった。
その影は、ロックオンが部屋に入ってくる事を確認すると、スッと立ち上がりロックオンの目の前へよって行った。

「刹那!?何でお前がココにいるんだよ!」
「いたら問題でもあるのか?」
「問題って、さっき興味なさげに横通ってったし、てっきり部屋へ戻ったもんだと思ってたんだよ」

ロックオンはそういうと、服を脱ぎ始めようとした。
しかしその手は刹那によって止められた。

「興味ないわけが無い」
「へ?」
「そんな格好をされて、興味が湧かない方がおかしい」

まぁ、確かにこんな格好をしていれば興味が湧かないわけが無い。
しかし、刹那の様子が少し違った。
刹那にグイッと引っ張られ、ベットへと追いやられる。
そして、すぐに押し倒された。

「あの、刹那さん」

ロックオンは困惑した表情で刹那を見た。
刹那はその視線を気にすることなく、スッとスカートの中へ手を入れた。
そして、直に太股を触り始めた。
触り始めたと言うよりも、撫で回し始めたといった方がいいだろう。

「せ、刹那、ちょ、ちょっとまて」
「なんだ?」
「まさか、このままするつもりじゃないよな。。。」

ロックオンは不安げに声を上げた。
こうゆう時の悪い予感は大概当たる物だ。

「当たり前だ」

刹那は何の迷いも無く答えた。

「こんな姿を目の前にして、興奮しない方がおかしい」

またもや刹那は何の迷いも無くそう答えた。

「こ、興奮って!?」
「綺麗だロックオン、良く似合っている」

そういうと、刹那はロックオンの唇に自らの唇を重ねた。
歯列をなぞり、下のざらつきを堪能し、唇を離した。
その間も、手は太股を撫で回していた。

「せ、刹那?何か親父臭くないか?」
「そうなのか?」
「いや、俺も知らないが。。。」

刹那はロックオンの上着を脱がし始めた。
ロックオンも自分自身に火が付き始めている事に気付き始めていた。

「刹那、まだ昼なんだけど。。。」

ロックオンは尻すぼみに声をかけた。

「気にするな」

こうして二人の濃密な時間は過ぎていった。







いや、何というか、まとまりの無い話ですみません。。。
上手く話が纏まらなくて。。。
ただ単に女装させたかっただけっていうか、
刹那にロックオンの太股を撫でさせたかっただけなんですけどね(ぉぃ
なんというか、申し訳なさでいっぱいいっぱいです。。。orz