最初はタダの五月蝿いやつだと思っていたんだ。。。





コイゴコロ




「彼が新しく入ったガンダムパイロット候補生の刹那・F・セイエイ君ヨロシクね☆」

スメラギ・李・ノリエガが紹介した。

「・・・」

こくり、とちいさく頭を下げた。
すると、目の前にいきなり白くしなやかな手が飛び出してきた。

「俺はガンダムデュナメスのパイロット候補生、ロックオン・ストラトスだ、よろしくな」

屈託の無い笑顔と差し出された手を交互に見やった。

「なんだ?握手ぐらいしようぜ」

そういわれ刹那はおずおずと手を差し出し握手をした。

「何だお前、体温低いな〜!」

手を握った瞬間、突然彼の口から予想もしない言葉が飛び出した。

「飯ちゃんと食ってんのか?そんなんじゃ身長も伸びないぜ?」

さらに、どうでもいい言葉が彼の口から飛び出した。
刹那にとってはおせっかいこの上ない言葉だった。
しかし、何故かこのまま引き下がる気分にならなかった。

「ガンダムのパイロットとして、身長は関係あるのか?」

何故だか自然と反抗の言葉が出た。

「関係あるも何も、平素からの体調管理は大切だぜ?」
「・・・」
「何だ?今度はだんまりか?何か言ったらどうだ?」

頭を上からグリグリとなぜられた。

「・・・ない・・・」
「へ?」
「貴様には関係ない」

頭に乗せられた手を払いのけながら答えた。

「へいへい、ソレは申し訳ございませんでした。でも、体が基本なのは本当だぜ?食う物だけはきちんと食えよ?」
「・・・」

刹那は鋭い視線をロックオンへと送った。

「だから、貴様には関係ないといった。それに体調管理くらい出来ている。」

さらに視線を鋭くして応対した。

「わかった、わかった。これから一緒に生活していくんだ、よろしく頼むよ」

困ったなと苦笑しながらロックオンは刹那から手を引いた。

「こらこら、最初ッからそんな険悪な顔しないの」

スメラギが刹那に向かって言った。

「これから、皆で生活するんだから、仲良くしてね☆」

念を押すように、スメラギは刹那にそう付け足した。

「・・・」

刹那は何も答えずその場からはなれ、自らに与えられた部屋へと戻っていった。

「スメラギさん、さっきの、、、刹那だっけ、彼の部屋って何処よ?」

ロックオンの質問にスメラギは「はいはい」っと答えた。
ロックオンが新人を構うのはいつもの事だ。
彼はただの好意でソレを行っているだけで、何の悪意も無かったからである。

「はい、コレが彼の部屋番号ね」
「サンキュ」

手渡された部屋番号を受け取ると、笑顔でロックオンは答えた。
そして、くるりと方向を変え、歩き出した。。。







コンコンと部屋の扉が叩かれた。
誰だこんな時に、そう思いながら刹那は扉を開けた。

「よう!やってるな!」
「何だ貴様は」

扉の向こうに姿を現したロックオンに、眉間に皺を寄せながら刹那は応対をした。

「貴様って俺にはロックオン・ストラトスって名前があるんだ、覚えてくれよ」

ロックオンは笑顔で返した。

「それより、部屋の片付けって一人じゃ大変だろ?だから手伝ってやろうと思ってな」

刹那はさらに眉間の皺を深くした。

「必要ない」
「なんだよ、いいじゃねぇか」

そういいながら刹那の部屋へ入ろうとしたロックオンに刹那は明らかな不快感を表した。

「・・・邪魔だ」

さらに部屋へ入って来たロックオンに対して強めの口調で牽制をかけた。
しかし、ロックオンは全く気にする様子が無い。
それどころか、刹那の荷物に手を出しだした。

「邪魔だといっている!」

刹那はロックオンの元へ行き、手にしていた荷物を奪い取った。

「なんだよ、スメラギさんも言ってたけど、これから皆で生活するんだぜ?仲良くしようぜ」

ややため息混じりに、ロックオンは言った。

「馴れ合うつもりは無い」
「はい?」
「馴れ合うつもりは無いと言った」

イライラする。
何故いちいち自分のすることに手を出したがるのか。
しかも何度も拒絶しているにも係わらず、わざわざ自分から手を出すなんて刹那には考えられなかった。
ましてや、戦場を一人で生き抜いてきた刹那にとって、簡単に相手の懐へ入るなんて考えも付かなかった。

「そんな硬い事いうなよ、此処にいる奴らは皆、仲間なんだぜ?」
「そうか」
「だから、仲良くしようぜ、な?」

なぜ、コイツと仲良くしなければならないんだ?
わからない、ロックオンとやらの頭の中はいったいどうなってるんだ?
何の利益があって初対面の奴に項までして世話が焼けるのか全くわからない。

「・・・五月蝿い」

そういい、ロックオンが手にしてた荷物を奪い取った。

「頼むから部屋からでていってくれ。それとも何か?貴様は俺を手伝って何か得をするとでも思っているのか?」

ロックオンは「は?」と言う顔をした。

「ここにいる以上は皆、仲間なんだぜ?助け合うのは当然だろ?」

今度は刹那が「は?」と驚いた顔をした。

「それだけの理由なのか?」

思わず疑問が口に出た。

「それだけとは何だ、それだけとは!」

ロックオンは怒った声で反論した。

「これから命を預けるかもしれない奴らなんだぜ!そいつらと仲良くして何が悪い!」

そんなこと考えた事もなかった。
戦場で生きていくには、人を信じる事なんてありえなかったからだ。
驚いた顔でロックオンを見返すと彼は微笑みながら続けた。

「だからな?コレからよろしく頼むぜ」

ほれ、と言いながら手を出してきた。
訳がわからない、と思いつつ出された手を握り返した。。。







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続きます。
もう完全に俺様設定です!
刹那がロックオンに対してどう心を開いていくのかが書きたかったのです。
少しずつ心を開けていけたらなと思っていますが、
彼の心なかなかガード固いです。
自分でどうしようって真剣に悩んでます(爆
タイトル通り、刹那はコイゴコロを抱いてくれるんでしょうか!
って、書いてる自分が一番不安です。。。