理解する事も出来ない存在だったのに。。。
コイゴコロ_2
ロックオンは事あるごとにはやたらと声をかけてきた。
「よぅ、刹那じゃん、今シュミレーション終わったところか?」
「・・・」
「なんだよ、少しくらい話せよ」
用も無いのに話しかけられて困っているとは考えないのだろうか。
ソレに此処で行われている事は、極秘事項。
そうやすやすと人に話す事はできない場所。
なのに、なぁ、なぁと何度も声をかけてくる。
仕方が無い、とあしらうつもりで刹那は言葉を口にした。
「・・・何か用か?」
「いや、特に用はないぜ?タダお前が此処に居たから声をかけただけだ」
やはりわからない。
というより、コイツがわかっていないだけなのではないかとさえ思う。
「なら用は無いんだな?」
「ああ」
「だったら話す事はない」
ため息混じりにそう言葉を発した。
「何だよ寂しい事言うな〜」
今度はロックオンがため息混じりにそう答え、
歩を進める刹那の前に回りこんだ。
「・・・邪魔だ」
睨み付けてやると何故か笑顔が返ってきた。
「そんな事言うなよ、せっかく同じガンダムパイロットの候補生として此処にいるんだぜ?
世界中探したって此処だけにしか居ないんだぜ?こんな凄い事他には無いんだぜ?
だから、仲良くしたいって思って何が悪い?」
な?っとロックオンは続けて刹那の様子を伺った。
「前にも言ったはずだ、馴れ合うつもりは無い・・・と・・・」
「何だよ、寂しい奴だな〜」
相変わらずロックオンの言っている事は訳がわからない。
一人で居る事が寂しいと思った事など一度も無い、
戦場では常に一人だった。
仲間など居ても、死んでしまえばソレでお仕舞いだ。
裏切られる事だってある。
だから仲間など要らないと思っている。
「そんなんだと、本当に寂しい奴になっちまうぜ?」
本当に訳がわからない。
何故そんなにも人と一緒に居たいんだ?
「用はそれだけか?」
「へ?」
「用はそれだけかと聞いている」
ソコには頑なな視線が合った。
彼が幼い頃どれほど辛い経験をしてきたのか、うかがい知る事が出来た。
神は居ないと信じる少年。
仲間など要らないと、戦場を一人で潜り抜けてきた少年の思いが篭っていた。
「用がないのなら行く」
そう言うと刹那はまた歩を進めた。
ロックオンの周りはいつも人であふれていた。
今日もそう、食事にと食堂へ赴いた刹那は思った。
「一体何の利益になるんだ・・・」
刹那が食堂へ入ってきたのを目ざとく見つけたロックオンはすぐに声をかけてきた。
「お〜い!刹那!お前もこっちに来て一緒に飯食おうぜ!」
「・・・」
無視して一人外れた席へと歩いていった。
その姿を見たロックオンはすぐに席を立ち刹那の元へと赴こうとした。
「やめておけ、奴は一人がいいんだとさ」
仲間の一人がそうごちった。
「そんな事いってもなぁ、一人ってのはやっぱりさみしいもんだぜ?」
「そうかもしれないが、奴は誰の誘いも聞こうとしないんだぜ?」
「だったら、余計にこの俺が構ってやらなくてどうする?
本当に一人になっちまうぜ?」
そういい残すと仲間の制止を無視し、ロックオンは刹那の元へと赴いた。
「刹那、一緒に飯食おうぜ?」
その申し出に、五月蝿いとばかりにまた無視をする。
「また無視かよ。。。」
ふぅ、とため息をついたロックオンはヒョイッと刹那の目の前にあったトレイを手にした。
そして、刹那の腕に手を掛けこれまたヒョイッと刹那を持ち上げた。
「な!貴様何をする!?」
慌てた刹那は離せとばかりに抵抗をした。
しかし体格の差を見れば当然、刹那に勝ち目は無く、
ただ、文句ばかりを口にしてズルズルと引きずられて行くばかりだった。
「悪い、ココ空けてくれ」
ロックオンは仲間の一人に声をかけ、自分が食事を取っている目の前の椅子に刹那を運びやった。
「これでよしっと」
ロックオンは満足そうに反対側の席へと付いた。
「なんだ?刹那、それだけしか食わないのか?」
刹那のトレイを見てロックオンは驚いた。
殆ど食事らしい食事が乗っていないのである。
まるでジャンクフードを見ているかのようだった。
「そんなんだから体温低いんじゃないか?ソレに身長だって伸びないぜ?」
ほれ、コレも食えとロックオンは自らのトレイから刹那のトレイへ食品を分けだした。
バン!
机を叩く大きな音が食堂全体に響いた。
「いい加減にしてくれ!俺に構うな!馴れ合うつもりなど無いと何度言ったらわかる!!」
「な!貴様!せっかくこっちが誘ってやってるのになんていい草だ!」
机を囲んでいた仲間の一人が刹那に食って掛かった。
「まぁまぁ、二人とも熱くなっるなよ」
ロックオンは二人をなだめるように席を立ち間に入った。
「刹那、いいか?ココは戦場じゃない。」
「・・・!?」
「それに、ガンダムパイロットに決まったら一緒に作戦行動をしていく仲間になるんだ。
ソレくらいわかるよな?」
そう言われて刹那は驚いた。
何もわかっていないと考えていた相手から思いもよらない言葉が出たからだ。
(ココは戦場じゃない・・・)
そういわれて刹那はハッとしたのである。
「貴様に俺の何がわかるって言うんだ・・・!!」
強い視線で刹那は問いかけた。
「分かるわけないだろ?俺はエスパーじゃない。
こんなご時勢だし、俺は戦争孤児だし。
戦火の中一人で生きていく辛さくらい知ってるつもりだ。
だからこそ、ココにすどってる奴らと仲良くしたい、そう考えてる」
「な・・・!?」
まさか、信じられない言葉が飛び出してきた。
戦争孤児!?
自分と同じような境遇でなぜココまで人を信用できる?
刹那には信じる事が出来なかった。
しかし、刹那にその言葉は決定的だった。
カタンと刹那は席についた。
「よし」
ロックオンは満足そうに頷き、席を立っていた仲間達に席へつくよう促した。
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何とか刹那が心を開いてくれそうです(爆
書いている途中このままじゃ心開いてくれないんじゃないかと考えながら書いてましたが、
何とか成りそうな予感がしてきました、よかった。。。orz
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